ITIL Foundation(ファンデーション)の資格取得を考えているけど、取得して何のメリットがあるのかわからない、資格取得しても意味がないのではないのかと、悩む人もいるのではないでしょうか。
私はIT業界でシステムエンジニアとして仕事をしながら、ITIL Foundationの資格を取得しました。
なぜITIL Foundationの資格を取得しようと思ったのか、実際に取得して感じたことやメリット、勉強法などを解説したいと思います。
ITILの資格取得に悩んでいる人の参考になれば嬉しいです(^ ^)
ITIL Foundationとはどういう資格?
ITILの資格は、英国AXELOSという組織が管理する英国政府認定の公的資格であり、
世界約180カ国25言語で試験が実施されている国際的に通ずる資格です。
取得することで、ITサービスマネジメントについての知識を証明することができます。
- ITIL(アイティル)とは
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ITILは[Information Technology Infrastructure Library]の略称で、ITサービスマネジメントのベストプラクティスをまとめた書籍群です。ITサービス管理の考え方をまとめたもので、ITサービス管理のためのテンプレートとして使用されます。
ITILは「サービス・ストラテジ」、「サービス・デザイン」、「サービス・トランジション」、「サービス・オペレーション」、「継続的なサービス改善」というライフサイクルに沿って5つのカテゴリで構成されています。
- Foundation(ファウンデーション)
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Foundationは日本語で「基礎・土台」という意味です。ITIL FoundationはITILに関する基礎、入門レベルの資格ということになります。
ITILの資格試験は、ファウンデーション → インターミディエイト → エキスパート → マスター の順に上位資格が存在します。
また、上位資格としてIPA(情報処理推進機構)が運営する国家資格のITサービスマネージャ試験も存在します。
現代はITシステムで溢れており、電子決済、クレジットカード決済、旅行の予約、通販、家電、クラウド、AI、スマホ、車、医療など、数え切れないほどのIT技術が意識せずとも私たちの身の回りで使われています。これらのIT技術はもはや私たちの生活に必要不可欠であり、さらにこれからもどんどんIT技術はすごいスピードで進化し、世界は変わっていきます。
これらのITシステムは実装されて終わりではなく、それが人々に利用されサービスとして安定稼働し世の中に浸透することが使命です。システム運用においては故障時の対応やメンテナンス方法、顧客の満足度向上やシステム拡張に至るまで、人々はシステムを快適に安心して利用できる仕組みが必要となります。
ITシステムを安定稼働させるために、ITサービスマネジメントを戦略、設計、移行、運用、改善という5つのカテゴリに分類し指標(枠組み)としてまとめられたITILが必要となります。
ITIL Foundationを取得した理由、取得して感じたメリット
私がITIL Foundation資格を取得した理由と、取得して感じたメリットは主に3つです。
給与が上がるから
1つ目は、私が働いていた会社ではITILを取得すると給料が上がるからです。
私はIT系の特定派遣企業の社員として働いていましたが、ITIL Foundationを取得するだけで毎月の給料に資格手当が5,000円付与されることになります。
ITIL Foundation資格の取得レベルは比較的低いので、給与が年間で6万円上がるのは大きいと思い、資格取得を目指しました。
勤務する企業によっては、ITIL資格を取得することで毎月の給与に資格手当が付与されたり、インセンティブとして一時金が貰える場合があるので、そんな場合は資格取得をするメリットは十分にあります。
ITスキルの証明
現代の世の中は、飲食店やコンビニ、ホテル、銀行、医療、学校、官公庁まで、どの業界でもITシステムは導入され人々に利用されていますが、それらのITシステムは技術者が構築して終わりではなく、どのように世の中に導入され、管理されていくのか、そして安定稼働していくことが最も重要な目的です。
つまりITスキルというのは、プログラミングやネットワーク、サーバー、データベースなどの技術的なスキルだけではなく、サービスマネジメントや運用の知識も重要なITスキルなのです。
ITIL Foundation資格は、ITシステムについて「戦略」、「設計」、「移行」、「運用・保守」、「改善」という5つのカテゴリに沿って体系的に学習できるので、資格を取得することでITサービスマネジメント全般についての知識を証明することができます。
将来の就職、転職を有利にするため
新卒一括採用、終身雇用、年功序列はすでに時代遅れとなってきており、日本もこれからは転職が当たり前の時代になります。
特にIT業界は、高いスキルを持っている市場価値の高い者がより重宝され求められるようになるので、サービスマネジメントのスキル証明となるITILの資格を持つことで、将来のキャリアアップにも繋がります。
ITIL資格は日本ではまだ有名ではないですが、
世界約180カ国25言語で試験が実施されている英国政府認定の国際的な資格です。
ITスキルとして王道のプログラミングやネットワークなどの技術的な資格ではなく、サービスマネジメントに関するスキルのため、保有者は比較的少なく重宝される資格です。
有効期限も特にないので、一度合格すれば永遠にスキル証明が可能です。
追記:2023年より取得から3年間の有効期限が設けられました。
試験概要、難易度、勉強法
試験概要
ITIL試験の概要は以下の通りです。
ITILの資格は、全国のテストセンターで受験可能です。
受験日も特に決まっておらず、ある程度は自分の好きな日時を指定して受験可能です。
- 受験方法:プロメトリックかピアソンビューで申込み
- 受験資格:なし
- 受験場所:全国のテストセンター
- 受験日:いつでも
- 受験料:43,890円(税抜) ※変動している可能性あり。
- 試験方式:四肢択一の40問、CBT方式(テストセンターのパソコンで受験)
- 試験時間:60分
- 合格基準:65%以上(25問以上)の正解で合格
合否の結果については、試験終了時にその場でパソコン画面に表示されます。
合格の場合は認定証と認定バッジが、後日郵送されてきます。
難易度
ITIL試験の難易度は「ITSSのキャリアフレーム」によれば、Foundationはレベル1です。
(OracleブロンズやCCENT、LPICレベル1と同じくらいの位置付けです。)
体感的にはITパスポートより難しく、基本情報技術者試験より簡単という印象でした。
合格率は非公開となっていますが、問題はすべて四肢択一のため合格率は比較的高いでしょう。
勉強法、おすすめの参考書
通称「黄色本」と呼ばている模擬問題付きの参考書です。
ITILについての用語解説から、ライフサイクルに沿った5つのカテゴリーごとに章が分けられており、全体の流れをつかみやすく非常にわかりやすいテキストでした。模擬問題も解説つきでたくさん出題されているので、ITILファンデーションはこれ一本を読み込めば容易に合格が可能です。
※シラバス2011というのは、現在ITILの最新バージョンが2011 Editionという意味です。2011年に発売された参考書ということではありません。
その他おすすめの参考書については下記記事で紹介しています。
まとめ
ITのスキルはプログラミングやネットワーク、サーバ、データベースなど、技術的なスキルに注視されがちですが、それらの技術により構築されたシステムがどのように世の中にリリースされ、管理されるのかというようなITサービスマネジメントの知識もITの重要なスキルです。
ITサービスマネジメントの知識を身に付けることで、ITシステム導入の仕組みや、利用者側の目線で考えることによって柔軟な発想が生まれたりなど、技術面の成長にも繋がります。
技術分野の広いIT業界ですが、自分がどの分野に興味があるのか、まだ自分が身に付けるべきスキルがはっきりと決まっていない人は、まずITサービスマネジメントの知識を身に付けてみるのも良いのではないでしょうか。
さらに上位資格として、高度情報処理技術者試験の国家資格「ITサービスマネージャ試験」も存在しますので、ITサービスマネジメントについての知識を極めたい人は目指してみてください。
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